子宮頸がんより死亡数が多い卵巣がん-リスク低下には睡眠が大事

日本女性では出産数増加と7時間以上の睡眠でリスクが低下

40代から増加する卵巣がんは、乳がん・子宮がんとともに女性が若いときから気をつけなければならないがん

卵巣がんの罹患数は子宮頸がんとさほど変わらず、死亡数はむしろ多い

 卵巣がんは、かつては欧米の女性に多いがんでしたが、近年は日本でも増加傾向にあります。乳がんや子宮がんほどには話題になることが少ない卵巣がんですが、1年間の罹患数は約9,900人、死亡数は約4,700人と推計されています(国立がん研究センターがん対策情報センター「最新がん統計」2014年更新)。

 子宮頸がんは罹患数約10,700人、死亡数約2,700人ですから、罹患数は子宮頸がんが少し多いだけで、死亡数はむしろ卵巣がんのほうが多いことがわかります。また、卵巣がんは40歳代から増加して50歳代前半にピークがあり、乳がんや子宮がんとともに、若いときから女性が気をつけなければならないがんの一つなのです。

 がんの原因の多くが喫煙や食生活、運動習慣など日常の生活習慣にかかわっていることが、多くの研究から明らかになっています。
 また、卵巣がんの発生率は日本生まれの日本女性よりも米国生まれの日系女性のほうが高いことから、卵巣がん発生への生活習慣の影響が考えられますが、はっきりしたことはわかっていません。
 そこで日本女性を対象に、卵巣がん発生リスクの調査が行われました。

出産数の増加、7時間以上の睡眠で、日本女性の卵巣がんリスクが下がる

 国立がん研究センターが行っている大規模追跡調査「多目的コホート研究」*によって、日本女性の卵巣がん発生リスクへの生活習慣などの影響を調べる調査が行われました。
 その結果、出産数の増加と7時間以上の睡眠が卵巣がんのリスクを下げる可能性があることがわかったのです。

*多目的コホート研究(JPHC研究):数万人以上の特定の集団に対し生活習慣などの調査を行い、その後何年も追跡調査を行うもので、がんだけでなく、脳血管疾患、循環器疾患、糖尿病などさまざまな病気と生活習慣の関係を調査している。

 この研究では、日本各地に住む約46,000人の女性を対象に平均約16年の追跡調査が行われ、86件の新たな上皮性卵巣がんの発生が確認されました。
 調査では、卵巣がんのリスク要因として挙げられた次の項目について、卵巣がん発生との関連が調べられました。

・初潮年齢
・出産数
・初産年齢
・授乳経験
・外因性ホルモン使用
・閉経
・BMI
・喫煙
・飲酒
・余暇の運動習慣
・日常の睡眠時間
・一次血縁者のがん歴

 調査の結果、出産数が1人増えるごとに卵巣がんの発生リスクが低下すること、日常の睡眠時間が7時間以上のグループでは、6時間未満のグループに比べてリスク低下がみられることが示されました。ただし睡眠時間と卵巣がんリスクの関連については、これまで報告されていなかったため今後の検証が必要とされています。

 そのほかの項目については、卵巣がんリスクとの間の統計学的に有意な関係は認められませんでした。「出産歴の有無」や「低い初潮年齢」、「高い初産年齢」、「母乳による授乳経験がないこと」などは、これまで主に欧米で行われた研究で関係が示されていましたが、この調査では確認できませんでした。
 これは、日本女性と欧米女性とで卵巣がんリスクが異なる可能性や、卵巣がんの発生数が少なかったため関連がはっきりしなかった可能性などが考えられています。

アンジェリーナ・ジョリーさんで注目された「遺伝性乳がん・卵巣がん」もリスク要因

 卵巣がんには「遺伝性乳がん・卵巣がん」といって、遺伝的な要因がはっきりしているものがあります。これは、特定の遺伝子に変異があるために、乳がんや卵巣がんの発生率が高いがんで、2013年に米国の有名女優アンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がん予防のための乳房切除手術を受けたことで注目されました(『知っておきたい「遺伝性乳がん・卵巣がん」』参照)。
 この遺伝性乳がん・卵巣がんは、卵巣がんの約10%を占めると言われています。

 また最近の調査によって、卵巣がんの発生リスクは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含む経口避妊薬の使用で低下し、卵胞ホルモンのみのホルモン補充療法では上昇することがわかっています。

(編集・制作 (株)法研)

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