家庭でも多い食中毒の予防法-冷蔵庫を過信してない? 5つの注意点

「わが家では起こるわけがない」と思っていませんか?

食中毒の予防は、食中毒菌を「つけない」「増やさない」「殺す」こと

食中毒は減っていない

 この冬、ノロウイルスによる食中毒・感染症が大流行して大騒ぎでしたが、清潔大国といわれる日本で、意外にも食中毒の件数はここ30年間減っていません。しかも、飲食店に次いで多いのは家庭での食中毒です。「わが家では起こるわけがない」という思い込みと冷蔵庫の過信による油断……、これらが食中毒につながります。

 食中毒は、食品についた食中毒菌が繁殖して起こります。食中毒にかかると腹痛や下痢、高熱、血便などの症状が出てくるだけでなく、子どもや高齢者など体力の弱い人の場合は、命にかかわる危険もあります。
 食中毒菌は栄養分、湿度、温度などの条件がそろうと繁殖します。食中毒は一年中発生しますが、やはり多いのは湿気が高く暑い梅雨どきから秋にかけて。梅雨がくる前に、食中毒を起こさないためのノウハウを身につけ、今からしっかり予防しましょう。

生鮮食品には食中毒菌がついている可能性もあると考えて

 食物が腐れば、色や味が変わったり変なにおいがしますが、食中毒菌は増殖しても、色や味、においも変らないのが普通なので、気がつかずに食べてしまう危険性が高いのです。だから、肉や魚介類といった生鮮食品には、すでに食中毒菌がついている可能性もあると考えて対処する必要があります。主な食中毒菌には以下のようなものがあります。

カンピロバクター:主な感染源は生または加熱が不十分な鶏肉。肉類は中まで火が十分に通っていることを確認して。

サルモネラ:主な感染源は卵や肉。特に危険なのは生卵の割りおき。作りおきの自家製マヨネーズが食中毒を起こすことも。

腸炎ビブリオ:主な感染源は夏場の魚介類。室温では増殖する速度が速いため、刺し身などは短時間でも室温に出さずチルド室(4度以下)で保存を。

黄色ブドウ球菌:傷口やニキビ、鼻の中など身近にいる菌で、手から食品について増殖する。調理の前は石けんで念入りに手を洗い、おにぎりなどはラップに包んでにぎる。

O157(腸管出血性大腸菌):たった数百個の菌で発症する。感染力が非常に強く、子どもや高齢者では命にかかわることも。生や加熱が不十分な肉やレバーに注意。乳幼児に生肉、生レバーを食べさせないように。

食中毒から身を守るには

 「肉や魚をよく加熱したから安全」ではありません。食中毒菌がついた生の肉や魚を調理したまな板を水でざっと洗い、そのまな板で切った野菜を生で食べて食中毒を起こす場合もあるのです。食中毒菌を「つけない」「増やさない」「殺す」を基本に、徹底的な予防を心がけましょう。

●生鮮食品は買ったらすぐに帰宅、冷蔵庫へ
 肉や魚の汁がパックからもれ、ほかの食品につかないように、肉や魚は別々のビニール袋に入れて持ち帰り、すぐに清潔な状態で冷蔵庫へ。食材のまとめ買いは避け、できれば毎日こまめに買い物を。

●手も食材も調理器具も「まず洗う」
 調理や食事の前に石けんで手を洗う(指輪をしていたらはずして)のはもちろん、調理中も、生の肉や魚をさわったら、石けんで手を洗ってから次の作業へ。食材は、野菜などを先に洗い、次に魚などを。そのとき、魚の汁などが野菜にかからないように注意。
 まな板は、魚・肉用、野菜用と2種類を使い分け、肉や魚の汁をほかの食品につけない。生の肉や魚を切ったあとはすぐに洗剤で洗い、熱湯をかけると安心。包丁は柄の部分も清潔に。さわった手から菌が広がりやすいので、しっかり洗浄・消毒する。スポンジやたわしは、ぬれ具合が絶好の細菌の繁殖環境に。よく洗ってしっかり乾燥を。

●なるべく加熱調理を
 食中毒菌は十分な加熱で殺菌できる。肉類などは「75度で1分間以上の加熱」を目安に。卵は、賞味期限ぎりぎりなら生食や半熟は避け、固ゆで卵や玉子焼きなどしっかり加熱して。残ったおかずなどを冷蔵保存するなら、食べる前に必ず加熱する。

冷蔵庫の過信は危険

 生鮮食料品についた食中毒菌の繁殖を防ぐには、冷蔵室は10℃以下、冷凍室は-15℃以下にキープ。そのためには次のことに注意しましょう。

・詰めすぎない……冷蔵庫内に物を入れすぎると、冷気がスムーズに流れず、設定温度にならない場合も。スペースの7割程度までに。

・頻繁に開閉しない……ドアの開け閉めは、冷気を逃がし庫内の温度を上げる原因に。できるだけドアの開閉の回数は少なく、全開は避け、開けている時間も短くして。よく使うものはまとめて取り出しやすい場所に置くなどの工夫も。

・庫内は清潔に保つ……庫内だけでなくドアやパッキン、取っ手も定期的にふき掃除と消毒を。そのさいは食品の賞味期限や消費期限などもチェック。

・冷凍庫内は食材をすきまなく……一つひとつの食材が保冷剤の働きをして効果的。

・冷凍食品は使う分だけ出して常温解凍は避ける……解凍は冷蔵庫か、電子レンジを使う。または密閉容器に入れて水を流しながら。室温解凍では食中毒菌が増える恐れが。

 また、普段から規則正しい生活を心がけて、食中毒菌に対する抵抗力を養っておくことも大切。体調不良時は、生ものを避けるほうがよいでしょう。下痢、腹痛、吐き気、発熱など、もしも食中毒が疑われるような症状が出た場合は、まず脱水症状を防ぐために水分を補給し、早めに医療機関を受診しましょう。

【監修】
仲真晶子先生


東京都健康安全研究センター 副参事研究員

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