甲状腺機能亢進症,バセドウ病の詳細

 甲状腺に慢性的に炎症が生じ、甲状腺ホルモンの過剰な生成を生じるもので、20〜30代の女性に最も頻度が高い病気ですが、思春期の女子および男子にもみられます。
 甲状腺から甲状腺ホルモンが多量に分泌され、全身の代謝が高まる病気です。しばしば甲状腺機能亢進症とバセドウ病は同じ意味に使われていますが、厳密には違います。  バセドウ病以外にも無痛性(むつうせい)甲...

甲状腺機能亢進症,バセドウ病の関連コラム

バセドウ病はなぜ若い女性に多いの? 主な症状と治療法

バセドウ病は20~30歳代の若い女性に多い病気です。ちょうど就職、結婚、妊娠、出産など人生の大きな節目となるできごとが... 続きを読む

甲状腺機能亢進症,バセドウ病関連のニュース

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バセドウ病は20〜30歳代の若い女性に多い病気です。ちょうど就職、結婚、妊娠、出産など人生の大きな節目となるできごとが重なる年代で、それが病気の発症に深くかかわっていたり、治療を受けるうえで大きな不安材料になったりしていますが、適切な治療を受ければ、子どもも産めますし、普通に生活することができます。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とはどんな病気か?

甲状腺に慢性的に炎症が生じ、 甲状腺ホルモンの過剰な生成 を生じるもので、 20〜30代の女性に最も頻度が高い病気 ですが、思春期の女子および男子にもみられます。

○甲状腺はからだのどこにあるの?
甲状腺は、通称“のど仏”の下につながっている気管軟骨の前面に、蝶が羽を広げたように張りついています。重さは約10グラム、大きさはマグロの刺身(やや大きめ)二切れほどで、ホルモンを出す内分泌腺としては人間の体の中で最大です。そうはいっても、健康な人の甲状腺は柔らかくて筋肉に覆われているので触ってもわかりません。ですから、甲状腺が腫れて大きくなったり、硬くなったりして触れるときは、甲状腺の病気が疑われます。 

○甲状腺ホルモンの働きとは?
全身の細胞の活性化を促進する作用があります。主なはたらきは、以下の8つです。

  • 基礎代謝と熱産生を上げて体温を上昇させる。
  • 心拍数を上げて血圧を上昇させる。
  • 交感神経のはたらきを高め、アドレナリン分泌を増加させる。
  • 精神機能を高め、興奮した状態をつくり出す。
  • 食後血糖を上昇させる。
  • 血液中のコレステロール濃度を下げる。
  • 成長ホルモンの合成を高めるとともに、作用を増強する。
  • 成長期の中枢神経細胞の分化・成熟を促すなど。

甲状腺の体内での役目は、ヨードを取り込み甲状腺ホルモンを作って血液中に分泌することです。いわば、ヨードを材料としてホルモンを作る工場のようなものです。上記のように甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を高め、人間のあらゆる臓器の働きを促進する作用があります。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の症状とは

甲状腺ホルモンが過剰になると全身の代謝が亢進するので、食欲が出てよく食べるのに体重が減り(高齢になると体重減少だけ)、暑がりになり、全身に汗をかくようになります。

精神的には興奮して活発になるわりにまとまりがなく、疲れやすくなり、動悸を1日中感じるようになります。手が震えて字が書きにくくなり、ひどくなると足や全身が震えるようになります。イライラして怒りっぽくなり、排便の回数が増えます。大きさに違いはありますが、ほとんどの症例で軟らかいびまん性の甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)が認められます。

バセドウ病では眼球が突出するとよくいわれますが、実際には5人に1人くらいです。

○甲状腺ホルモンが少なすぎるとどんな症状がでるの?
一方、甲状腺ホルモンが少なすぎる病気の代表的な病気は 慢性甲状腺炎(橋本病) による機能低下症です。新陳代謝が低下するので、寒がりで眠たがりになり、汗は少なく乾燥肌で、胃腸の動きも悪く便秘がちで、仕事をする意欲も低下します。これらの症状は長い月日をかけて、ゆっくりと進行するので、本人も家族も見逃してしまうことがあります。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の原因と治療法

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の原因は、 遺伝因子や環境因子 が関係します。 甲状腺の甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプターに対する自己抗体(TRAb)がつくられ、TRAbによって甲状腺ホルモンの過剰な生成が起こります。自己免疫反応が病気の原因です。

○バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の治療法

抗甲状腺薬治療、手術、アイソトープ治療の3種類 がありますが、通常、抗甲状腺薬治療をまず行います。

抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)は甲状腺ホルモンの合成を抑える薬です。この薬で合成を抑えると、4週間くらいで甲状腺ホルモンが下がり始め、2カ月もすると正常になって、自覚症状はなくなり、完全に治ったようになります。しかし、原因のTRAbが消えるのは2〜3年後なので、TRAbが陽性の間は抗甲状腺薬をのみ続ける必要があります。

いつまでもTRAbが陰性にならない時は、甲状腺を一部残して切除する甲状腺亜全摘(あぜんてき)出術をするか、放射性ヨードを投与して甲状腺を壊すアイソトープ治療をすることになります。このどちらを選ぶかは、甲状腺の大きさや年齢、妊娠の希望などを考慮して決定します。なお、 抗甲状腺薬は妊娠中でも医師の指示のもとに服用することができます。

バセドウ病は女性では100人に1人の頻度でみられる病気 で、決してまれなものではありません。自覚症状がなくなっても治ったわけではなく、いつ薬をやめるか、薬物治療以外の治療に切り替えるかなど難しい点もあるので、できれば甲状腺専門医と相談しながら治療することをすすめます。

あなたは大丈夫? バセドウ病(甲状腺機能亢進症)チェックリスト

甲状腺ホルモンは人間のあらゆる臓器・組織の新陳代謝にかかわっているため、その分泌に変調を来たすと体全体にさまざまな形で影響が現れ、ほかの病気と間違えられることもしばしばです。バセドウ病を見つける簡単なチェックリストを示しておきます。

  • □真冬でも汗をかくようになった
  • □暑がりになった
  • □脈が速く、動悸を感じる
  • □些細なことでイライラして、怒りっぽくなった
  • □疲れやすく、体力が落ちたと感じる
  • □少し動いただけででも息切れを感じる
  • □食欲が高まり、常に空腹に感じる
  • □1日に何回も便が出たり、自然に便秘が治ったりしている
  • □食事の量は減っていないが、体重が減った
  • □じっとしていると落ち着かない
  • □眼が出たり、見開いたようになった
  • □手が細かく震えて字が書きにくい
  • □いつも手のひらが湿っており温かい

6つ以上チェックがついた人はバセドウ病の可能性があります。

他にもある、甲状腺の病気一覧

甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下して活動性が低下する病気です。圧倒的に女性に多く(男女比は1対10以上)、40歳以後の女性では軽症なものも含めると全体の5%にみられます。

橋本病(慢性甲状腺炎)
本来は外部から入り込んだ異物に対して起きる免疫反応が、自分の体の細胞に対して起きて甲状腺の細胞が壊れ、細胞と細胞の間に線維化が起こる臓器特異的自己免疫疾患です。女性に圧倒的に多く、最近の研究では10人に1人かそれ以上の頻度ではないかといわれています。

無痛性甲状腺炎
何らかの原因により甲状腺が壊れ、なかに蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中にもれ出して、一過性の甲状腺機能亢進症を示す病気です。

副甲状腺機能亢進症
原発性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺が腫大(しゅだい)して副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることにより、高カルシウム血症、低リン血症、骨粗鬆症、尿路結石、腎障害などを来す病気です。

先天性甲状腺機能低下症
生まれつき甲状腺が十分に形成されなかったり、甲状腺ホルモンを合成する過程に先天性の異常があったりして、甲状腺ホルモンが不足する病気です。

甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍には良性の腫瘍とがんがあります。甲状腺がんには乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様(ずいよう)がんがあり、そのほかに悪性リンパ腫が甲状腺にできることがあります。